NA.home通信 183号

1.sep.2002
 5年ぶりに献血をした。
 というのもその間2度挑んだのだが血圧が高いとかで断られ、減量してから初のチャレンジで献血できた。
 こんなことだが胸の支えが下りたようでうれしい。

 思い起こすこと二十数年前、そのころ事務所は土曜半ドン。
 正午の時報が鳴り、製図板回りを片づけ始めると、同僚のSに電話が入った。
 短い電話を切ると、
「今から、うちの叔父さんが迎えに来るから」と、唐突に言う。
「なんで??」と訊くと、
 なんでもガンの手術でO型の血液が要るから、俺に行けと言うのだ。
 でも彼の叔父さんは知っているが、手術を受ける人を全く知らない。また、以前に叔母の手術で、治らなかった経験があるので気乗りしない。
 確かにデートの相手も居なければ、大学は夏休み。予定が無いには違いがないが、納得がいかない。
 と思う間もなく、車が来て拉致され、昼飯も与えられず、河和の厚生病院まで連れて行かれた。

 輸血というものは時間がかかるものだ、
 まずそれぞれ血液を調べて、患者との相性を見、その順番で採血を決める。私は補欠、結局採血はなかった。とは言うものの、長い夏の日も暮れ、解放された時にはすでに暗くなっていた。

 数ヶ月して、上等の毛布をいただいた。
 なんでも手術は大成功で、完治したとのこと。それは何より喜ばしい。でも、その人が誰だったか、いまだ知らない。

 栄の献血ルームはビルの9階、エレベーターを出ると目の前だ。
 こころなしかドキドキするため、血圧が30ほど上がり、危うくまたアウトになるところだった。
 終わって外に出ると30度を超える暑さだというのになんと爽やかなこと。これほど清々しい気持ちになれるとはホント、思わなかった。
 経験のない方、是非お薦めする。

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