エコリフォームのすすめ

全国商工新聞連載 2013年8月〜1014年1月  

  1 断熱化のすすめ


大きな吹抜空間の家に驚き Aug.1997 L.A.
 16年前、誘われてロサンゼルスに行きました。目的は住宅の見学。その頃のアメリカは長い不況の真っ最中、日本はバブルは弾けたというもののまだ元気で、日本の企業がアメリカの不動産を買いまくっていました。私たちもいかにも「家を買うぞ」という振りで、少し良いものを着て、売り物の家を見て回りました。勿論買う気なんかありません。2億もする家がありましたので買いたくても買えませんが。
 
 季節は真夏、ロス郊外は灼熱でテレビの天気予報では106度とか112度とか最高気温を示しています。お湯が沸く温度かと思いきや、華氏なので100度がヒツジの体温つまり38℃、それでも40℃を超える最高気温。血液が沸騰しそうです。
 周囲は灼熱でも玄関を入るとそこは実に快適な空間でした。
 驚いたのはバカンスで家を空けていて「空調が切っあるから暑いですよ」という家に入ったとき、確かに冷房の効いた家よりは暑いけれど、蒸し返るような感じは全くなく、1階2階とも温度に差がありません。そのため大きな吹き抜け空間でも空気の対流は起こらず、ロスには冬はないけれど、この家なら冬も快適だろうと容易に想像できました。
 
 「こういう家を造りたい」私たちの家造りを根本から見直すきっかけになりました。
 
 家の中に温度差があったのでは大きな吹き抜け空間は不可能です。対流が起き寒くてたまらない、暖房費がかかりすぎるなどとんでもないことになります。
 室内に温度差が無い家はどうやったらできる?

断熱を強化した最近の作品 Apl.2013 Handa
 それは断熱性能を上げるしかありません。それを暗中模索の中で積み上げてきました。このような機会をいただきましたので、そのノウハウを商工新聞読者の皆さんに紹介していきたいと思います。
 
 各地で住宅リフォーム補助制度ができ、建築業界は仕事受注のチャンスが広がっています。リフォームには水回りの改修や、耐震化、バリアフリー化などいろいろな目的がありますが、そのときに是非勧めてほしいのが断熱の強化です。
 住宅の性能を高め、暮らしやすく冷暖房にかかるエネルギー使用量を少なく押さえることができます。
 
 欧米では当たり前の住宅の省エネ化ですが、まだ日本では普及していないどころかその意識さえ広がっていません。私たちの力は小さいですが、省エネ化が進み、原子力発電所の頼らなくても快適な暮らしが出来るようにしたいと思います。