エコリフォームのすすめ

全国商工新聞連載 2013年8月〜2014年1月  

  8 自然素材こそエコ


木質繊維断熱パネル

セルロースファイバーの充填
 木、石、土、これらは地球上どこにでもあります。人々は古来から近くにあるこのような材料で家を造ってきました。エジプトでは砂漠の砂と川底の粘土を混ぜて日干し煉瓦を作りそれを積み上げて家を造ったし、木が豊富な日本では木を組んで家を造ってきました。
 家というのは本来そういうものなのです。鉄やコンクリートが自然素材ではないとは言いにくいですが、石油製品は自然素材ではありません。
 
 断熱材も自然素材のものがあります。木質繊維ボードやセルロースファイバーです。両方とも原料は「木」です。前者は木材の端材を繊維状にしたボード、後者は新聞紙をほぐしたものです。新聞紙でも弁当を包んだ古新聞ではなく、駅などで売れ残った新聞です。
 木造の家の場合、柱や土台など木材が使われています。伐り出された木材ですが、形のある限り生きていています。だから法隆寺は千年以上も建っていられるのです。
 この生きている木材の呼吸を妨げるものを張り付けると、結露を起こし腐敗の原因になったり、シロアリの餌食になってしまいます。その点、木質系の断熱材は原料が同じなので、木材が湿気を吸ったり吐いたりする呼吸を妨げず、木材を長持ちさせます。
 断熱しながら余分な湿気は外に出す。アウトドア派の方ならゴアテックスのレインウエアの建物版と思っていただければわかりやすいと思います。
 
 内装仕上も天然素材にこだわりたいものです。
 木材やシックイなどの塗り壁は表面が多孔質で、室内環境になじみやすく、素材が呼吸し調湿機能や空気浄化また結露防止の効果もあります。壁下地に石膏ボードを用いますが、原料が石灰石でシックイと同じ仲間であり、天然素材の働きを阻害するものではありません。石膏ボードにビニールクロスを張ってしまうと、そこで環境を断ち切ってしまいます。
 
 リフォームする度に少しずつ自然素材に代えたらいかがでしょう。ビニールクロスを剥がしてシックイや珪藻土を塗る。塩ビの床を剥がして無垢のフローリングにするなど、出来るところからやっていきます。順に室内の環境は改善され、シックハウス症候群などの原因は除去されていきます。
 
 省エネルギーは間接的なエコロジーですが、自然素材の利用は直接的なエコロジーです。エコリフォームを掲げる以上、家の性能だけでなく自然素材にこだわって、快適で長持ちする建物にしましょう。
 次回からは具体的な工法を紹介していきます。